いーれて!
冬の長こへ


布団をぴったりと並べて敷くのは一年生の頃から変わっていない。他の組は衝立でお互いの空間を作っているのだろうが、この部屋には衝立すらない。狭い部屋が更に狭くなると小平太が取っ払ってしまって以来そのままだ。
衝立はまだしも、布団くらい離して敷けばいいものを、と言われることもたまにある。私も一時期試みていたのだが、いつの間にかまたくっつけて敷くようになっていた。勿論、私と小平太が恋仲であるということもあるが、理由はそれだけではないんだ。



「長次、ちょーじ、」
来た。夜も大分更けた時間帯だろう、そろそろ来ると思っていた。微睡んでいた私は薄く目蓋を開けて枕元で私を揺する小平太を見上げる。鼻が赤いその姿を見てフッと笑みがこみ上げ、何も言わず布団を捲って枕ごと端に寄り、寝転がれるスペースを作ってやった。すると勢いよく小平太が胸に飛び込んでくる。…冷たい。

「すまんなぁ、今晩は一人で眠ろうとさすっていたのだが…温まらなくてな」
「…手も脚も冷たいな」

知っている人間は少ないのだが、小平太はかなりの冷え症だ。いつもいけいけどんどんと動き回っているから体温は高そうに見えるが、体温もかなり低い。いつからか、寒くて眠れない夜は、こうして私の布団に入ってくるようになった。

「私が長次の体温を奪ってしまって、長次は寒くないか?」
「大丈夫だ…私は体温が高いから、丁度良い」
「そうか、長次は優しいなぁ」

布団の中で密着する。冷たくなった鼻先が胸部に当たってくすぐったい。冷たい指先も爪先も私に触れている部分が次第に温かくなっていく。もっと温めてやりたくて、頭の下に腕を回してぎゅっと抱き寄せる。脚を絡めてこれ以上なくくっつくと、小平太がふふ、と笑った。

「眠れそうか?」
「ああ、あったかい。なんだか…心の臓まで、あったかいぞ」
「そうか…よかった。」

明日も朝が早い。冬の早朝はかなり冷え込むから、小平太を布団から引っ張り出すのも一苦労だ。早く寝て、体力を蓄えなければ。

「おやすみ、小平太」
「うん」

背中を軽く叩いてやるとすぐに寝息を立て始める。規則正しいそれにつられるように、私も深い眠りに落ちた。



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もう教習所が寒すぎて、南極か!と思ったのと、小平太が冷え症だったらかわいいなって思って思いついたもの。
小平太は体温高そう。長次の方が低そう。
でも満足です。こへかわいい。
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